大分県大分市の舟平産業廃棄物処分場に関する質問主意書

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平成十七年九月二十一日提出
質問第三号

大分県大分市の舟平産業廃棄物処分場に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢

大分県大分市の舟平産業廃棄物処分場に関する質問主意書

 産業廃棄物処分場をめぐる違法埋立、不法投棄、水質汚染等が全国的に大きな問題となっている。

 九州においても、去る五月には、福岡県筑紫野市内に産業廃棄物処分場を持つ産業廃棄物処分業者に対して、福岡県は、県の改善命令や行政指導に従わないとの理由で、同社に処分業、施設設置などのすべての許可を取り消す行政処分を行っている。

 大分県大分市の舟平産業廃棄物処分場は、安定型の処分場であるが、安定品目以外の不法埋立、処分場の排水による水道水・農業用水の汚染、豪雨による処分場崩壊の危険性について、地域住民は、長きにわたって指摘し、大分県等に調査等適切な措置をとるように要請してきた。

 しかしながら、産業廃棄物処分業者の施設許可権者である大分県は、こうした住民の要請に対して、これまで、十分な調査、業者に対する指導・監督等の対策を講じてこなかったのである。

 現在、産業廃棄物処分場の指導・監督権限を持っている大分市は、初めて、搬入される産業廃棄物の抜き打ち検査の実施、廃棄物処分場の排水・排気の調査、廃棄物処分場の調査を検討し、実施しつつあるようだが、住民は、十分な調査と結果について情報公開と説明を求めるとともに、処分業者に対する指導、監督の徹底をも要求している。

 舟平産業廃棄物処分場問題については、地域住民の健康の保護、廃棄物処分場の管理と安全保持の観点から、政府としても、実態の把握に努めるとともに、大分県、大分市への適切かつ厳格な指導が求められていると考える。

 従って、以下質問する。


 大分市舟平産業廃棄物処分場は、一九九二年大分県が設置を許可したが、この地域は大分市の水道水の水源保安林であり、森林を伐採して更地にしたうえで深い渓谷の入り口を土の堰堤で塞ぎ、渓谷を二〇mから三〇m掘り下げ、その中に廃棄物を投入するという安定型施設である。しかし、かねてからその工法は、豪雨等により決壊の恐れがあると指摘されていた。現に操業開始一カ月後に降雨のために土堰堤が崩壊し、廃棄物が土石流とともに広範囲に流出し、業者は二ヶ月間の操業停止を受けた。業者は決壊した土堰堤に盛土による修復で、大分県は操業再開を許可した経緯がある。
 今後、豪雨等のために土堰堤が崩壊し、廃棄物が土石流とともに流出する危険性を常に孕んでいる。
 土堰堤の決壊に備えた予防措置、万が一決壊した場合の応急措置、修復措置は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)上は、廃棄物処分業者が責任を負っているが、事態によっては、大分市においても適切な措置を講ずる責務があると思うがどうか。


 大分市舟平産業廃棄物処分場は、安定型処分場であるが、廃棄物処理法によれば、安定型処分場の場合には、構造自体が簡単なものであるために、金属くず、ガラスくず、陶磁器くず、廃プラスチック、建設廃材の安定五品目に限定されており、有害物質を含んだり、分解して有害物質を発生したりするもの、腐敗するような有機物は持ち込むことはできないと思うがどうか。


 大分県は、舟平産業廃棄物処分場を建設し、後に同処分場内に、産業廃棄物を無害化・減量化する中間処理施設を設置することを、処分業者に対して許可している。
 本来、中間処理施設は、廃棄物処分場とは別の場所に設置し、さまざまな産業廃棄物を無害化・減量処理した上で、安定五品目を厳格に選別し廃棄物処分場に搬入するというのが原則ではないのか。


 地域住民は、産業廃棄物処分場内に中間処理施設を設けたために、産業廃棄物の最終処分場へ持ち込む安定五品目と中間処理施設へ持ち込まれる廃棄物の分別が適切に行われず、同処分場に安定五品目以外の廃棄物の投棄がなされている疑いが強いとして、大分県や大分市に対して調査等を強く要望している。
 大分市は、搬入業者の抜き打ち調査で、廃棄物処分場に安定五品目以外の産業廃棄物が投棄されている事実をつかんでいる。
 廃棄物処分場の埋め土の割れ目からしばしば白煙があがり、悪臭が発生し、どす黒い汚水が排出されている。この汚水について、大分県が指定した機関が水質を分析した結果、BOD(生物化学的酸素要求量)は八七〇で基準値の四三・五倍、COD(化学的酸素要求量)は三七〇で基準値の九・二五倍の数値に達している。専門家は、埋められた廃棄物は、地下で化学反応を起こしているのではないか、また悪臭を発するガスは、硫化水素やダイオキシンなどの有毒ガスが含まれている可能性があると指摘しており、水道水や農業用水への汚染が懸念されている。
 ところが、これまで大分県は、調査方法や調査結果の公表をしないだけでなく、明確な根拠をなんら示さずに、住民に対しては「有毒ガスの排出はない」との姿勢をとり続けてきた。
 二〇〇五年一月、野津原町の合併に伴って、舟平産業廃棄物処分場の指導・監督権限は、大分市に移管された。同市は、住民の強い調査要求に対して、ボーリング調査を実施しようとしているものの、ガス、汚水、水質の調査、廃棄物の不法投棄の調査については、まだ実施されず、なにも解明されていない。
 大分県と大分市は、汚水等や廃棄物の不法投棄がなされているかどうかの調査をして、地域住民に公表し説明すべき責任があると考える。政府の所見を伺いたい。
 大分県と大分市が必要かつ十分な調査を実施しないというのは、廃棄物処理法に照らして問題があると考えるがどうか。


 大分県は、二〇〇三年八月、舟平産業廃棄物処分場から水温三〇度から三五度の悪臭を発するどす黒い排水が流出した際に、住民の指摘で初めて廃棄物処分業者に対して指示し、排水浄化装置の設置を講じさせたのである。
 本来、安定五品目を処理する処分場で、汚水が排出されることはないはずであり、排水浄化装置は必要のないものである。処分業者によれば、「廃棄物処理法改定前の廃棄物による汚染であり、それに対する予防措置をとったもの」と説明している。
 これが、事実だとしても、法改正前のこととはいえ、廃棄物処分場には安定五品目以外の廃棄物が投棄されているということである。
 その廃棄物が現存する限り、ガスの発生、汚水の流出は続くことになる。浄化装置をつけたというが、有害物質等が含まれた汚水を濾過できるのかどうか明確にされていない。
 その上、中間処理施設の設置によって、厳格な分別がなされずに、安定五品目以外の廃棄物が処分場に投棄されているとすれば一層重大である。そのための対策が必要なことはいうまでもない。
 政府としても、ガス、汚水等の調査、不法投棄がなされているかどうか実態を調査し、結果を、住民に公表して、疑惑に対して説明責任を果たすように、大分県と大分市に対して、厳格な指導をすべきと考えるがどうか。


 舟平産業廃棄物処分場に、二〇〇三年頃から、これまでのダンプカーによる県内廃棄物の搬入(一日平均二〇台)に加えて、札幌、名古屋、愛媛県など全国各地から大型トレーラーによる大量の廃棄物の搬入(一日平均三〇台)が行われ、団地内への騒音被害、道路の破損が生じている。
 この県外からの大量の廃棄物の搬入について、業者の中には、「大分県産業廃棄物処理施設設置等指導要綱」の第一九条の搬入協議書の提出、すなわち排出事業者に課している義務を無視して行っているケースも少なくない。
 こうした県外からの大量の産業廃棄物の搬入は、産業廃棄物処分場設置の許可条件の緩和措置によって、廃棄物処分場を拡大し、渓谷をさらに掘り下げてその中に廃棄物を投入するという事態にまでなっている。
 廃棄物処理法上、大量の産業廃棄物が搬入され、それが住民生活や環境等に影響をおよぼしている場合には、大分県及び大分市の裁量によって、県外からの産業廃棄物の搬入の制限等の措置を講ずることはできるのではないのか。
 また、そのような制限、規制をしている都道府県、政令市等があれば明らかにされたい。


 現在、全国には、産業廃棄物処分場は二、六五五施設が所在するとしているが、都道府県・政令市別にどのくらい存在するか、その実態を明らかにされたい。

 右質問する。

平成十七年九月三十日受領
答弁第三号

  内閣衆質一六三第三号
  平成十七年九月三十日

内閣総理大臣 小泉純一郎

     衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出大分県大分市の舟平産業廃棄物処分場に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


衆議院議員赤嶺政賢君提出大分県大分市の舟平産業廃棄物処分場に関する質問に対する答弁書

一について

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号。以下「令」という。)第七条第十四号に規定する産業廃棄物の最終処分場(以下「最終処分場」という。)の維持管理は、当該最終処分場について廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「法」という。)第十五条第一項の設置の許可を受けた者(以下「設置者」という。)が法第十五条の二の二に規定する技術上の基準(以下「維持管理基準」という。)等に従って適切に行う必要があるが、最終処分場からの産業廃棄物の流出等により生活環境保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下同じ。)は、法第十九条の五等の規定に基づき、当該最終処分場の設置者等に対し、その支障の除去等の措置を講ずべきこと等を命ずることができるとされている等、産業廃棄物の適正な処理が行われるように必要な措置を講ずることに努める責務を有している。

二について

 最終処分場のうち、令第七条第十四号ロに規定するもの(以下「安定型最終処分場」という。)において産業廃棄物の埋立処分を行う場合には、事業者は、令第六条第一項第三号ロの規定により、令第六条第一項第三号イ(1)から(6)までに掲げる産業廃棄物(以下「安定型産業廃棄物」という。)以外の廃棄物が混入し、又は付着するおそれのないように必要な措置を講ずることとされており、御指摘の「有害物質を含んだり、分解して有害物質を発生したりするもの、腐敗するような有機物」である産業廃棄物については、安定型産業廃棄物に該当しないことから、安定型最終処分場において埋立処分を行うことはできない。

三について

 都道府県知事は、法第十五条第一項の設置の許可の申請があったときは、当該申請が法第十五条の二第一項に規定する許可の基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならないとされているが、当該許可の基準においては、御指摘のような中間処理施設と最終処分場とを別の場所に設置することは要件とされていない。

四について

 安定型最終処分場についての維持管理基準においては、設置者は、採取設備により採取された浸透水の水質について生物化学的酸素要求量等の検査を行うこととされており、当該検査の結果、生物化学的酸素要求量等が基準値を超えている場合には、当該最終処分場への産業廃棄物の搬入を中止する等の必要な措置を講ずることとされており、保健所を設置する大分市において、法に基づく立入検査等の適切な処理がなされるものと考えている。

五について

 設置者に対する改善命令等の措置は、法に基づき、都道府県知事が実施することとされており、関係大臣において、都道府県等による事務の処理が著しく適正を欠いているような場合には、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十五条の七の規定による是正の指示等を行うこととしている。

六について

 都道府県知事は、法に基づき、当該産業廃棄物処理施設が設置された都道府県外からの産業廃棄物の搬入について制限することはできない。
 また、当該産業廃棄物処理施設が設置された都道府県外からの産業廃棄物の搬入の制限等を行う条例又は規則を制定している都道府県及び保健所を設置する市としては、平成十七年二月現在、青森県、岩手県、秋田県、福島県、新潟県、愛知県、三重県、岡山県、香川県、名古屋市、岡山市、豊田市、豊橋市及び倉敷市があると承知している。

七について

  都道府県別の最終処分場の設置数は、環境省ホームページにおいて掲載している。また、保健所を設置する市別の最終処分場の設置数は、環境省が取りまとめている「産業廃棄物行政組織等調査報告書」において公表している。